先日、元生徒の講師たちと話していて気づかされたことがある。
以前は授業の中で、中学の内容を超えた話をよくしていた。量子力学の話をしたり、教科書には載らない歴史の裏側を話したり、いまの国際情勢と地理や歴史を結びつけて地政学の話をしたり。学校では聞けない話が、勉強へのモチベーションになっていたと言うのだ。
言われてみれば、たしかにそうなっている。
いつからか、そういう小話をしなくなっていた。言い訳をするなら、生徒から「テストに出るところだけ教えてください」と言われることが増え、そちらに流されてしまっていたのだと思う。効率を求める声に応え続けているうちに、範囲を教えるだけの授業になっていた。
テストに出るところを教えるのは、塾として当然のことだ。でも、それだけでは足りない。
開智学院は「モチベーションを上げる塾」であることを目指してきた。基礎学力や応用力を積み上げる前に、そもそも勉強したいと思えるかどうかが土台になる。学校では教えてくれない世界の広さに触れて、目の前の問題集の向こう側に何があるのかを知ること。それが子供たちの興味を引き、机に向かう理由になる。テストの点数だけを追いかけていては、その土台を育てられない。
普通の授業をこなすだけの塾に、開智学院はなってはいけない。
範囲を教える時間の中に、少しでいいから小話をする余白を戻そうと思う。量子力学でも、歴史の裏側でも、いまのニュースの背景でもいい。テストには出ないけれど、その一言が誰かの興味に火をつける。そのことを忘れていた。
初心に帰ろう。